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今週のテーマ 「名刺」「おたまじゃくし」「羽」「たるき亭」

たるき亭・・・そこは765プロダクションのあるビルの一階にある居酒屋というか大衆食堂である。
765プロダクションが真上にあるという事で、アイドルやプロデューサー達が良く訪れる。
そして、今日、この日も・・・。

ガラガラガラ。昔ながらの横開きの扉が開く。
「うぃ~っす。おやっさん、今日もお邪魔しに来ましたぁ~」
「うっう~! 今日も宜しくお願いします!」
765プロダクションのプロデューサーの一人と、アイドルの高槻やよいが来店した様だ。
「…いらっしゃい。」
店主は口数が少なく、厳しい顔をしている。だが、それ故に、結構渋いと人気が高い。
「…注文は?」
少し置いて温くしたのであろうお茶を、カウンターに座った二人の前に出す。
二人とも、そのお茶を少し啜る。そして、ふぅ~っと息を吐く。
「…これが旨いんだよなぁ…。雪歩も美味しいお茶を入れるが、おやっさんのは五臓六腑に染み渡る!」
「熱すぎないのでごくごく飲んじゃわないようにしないと勿体無いですよね!」
まず、お茶で二人の疲れを軽く取る。大事な一つだ。
だが、その美味しさ故に、一時的に思考回路を止めさせてしまうのが難点とも言える。
……贅沢な難点である。
「……注文は?」
咳払いをしつつ、店主はもう一度聞く。
毎度の事なのだ。
分かってはいる。だが、やめはしない。
「…おっと、失礼しました。…そうだなぁ…今日は、やよい頑張ったもんなぁ。相手の作曲家さんも物凄く乗り気だったし。」
「えへへっ。そんなことないですよぉ~」
話を聞いてる限りでは、営業に行ってきた様だ。
成果は上々と言った所だろうか。
「よっし、今日は俺が奢ってやる! おやっさん、やよいにお子様ランチを!」
「えええ!? 良いんですか!?…というよりも、あるんですか?!」
高槻やよいが声をあげる。居酒屋というより、下町的大衆食堂にそんな物があるはずはないと思うのは普通だろう。
だが・・・。
「あるよ。お子様ランチ一つ…あんたは?」
「俺は、グリーンカレーで。」
その注文を当然の事の様に受け、料理を作り始める。
その動きは、年を感じさせないかの如きだ。…実際の年齢は分からないが。
「あ、そう言えばプロデューサー。作曲家さんから貰っためーしですけど…。」
「ん? どれどれ?」
やよいが取り出した名刺を覗き込む。
彼女が差すのは、ロゴに使われている『音符』。
「・・・ん? 音符がどうかしたか?」
「えっと、何ていうか、おたまじゃくしみたいだなー・・・って思って! エヘヘっ」
やよいが、照れ笑いを浮かべながら言う。その顔を見て、プロデューサーもつい笑い声を上げる。
その声に反応したのか、店主がギロリと視線だけを向けてくる。
それに反応するかの様に手を合わせ拝むようにするプロデューサー。
ふんっと鼻息を一息出して、作業に戻った。その姿を見て、胸を撫で下ろすプロデューサー。
「ご、ごめんなさい。プロデューサー。」
「あー…やよいは…」
「やよいちゃんは悪くないぞ」
やよいとプロデューサーは顔を合わせた。誰が言ったんだろう?
少し、時間が経って二人は同じ結論に達した。
二人一緒に顔を向ける。
…店主が少し、頬を赤くしながら作業をしていた。
「…はい! ありがとうございます!!」
やよいが大きく笑顔でお礼を言った。
それに照れたのかは分からないが、いつもより若干手荒にお子様ランチとグリーンカレーが二人の前に置かれた。
「お子様ランチ、グリーンカレー、お待ちどう」
「…あ、お子様ランチ、旗がない代わりに、天使が乗ってますよ! プロデューサー!」
そう、確かに、通常なら国旗が刺さってるはずなのに、チキンライスの上には、白い羽根が付いた天使が乗っていた。
口にはラッパか何かを付けている。クリスマスに使っていたやつだろうか?
店主の方を見ると、頬をかきながら口を開いた。
「…国旗を切らしちまっててな。今日は、天使さんだ。」
「…ありがとうございます! エヘヘっ」
やよいは、その天使が気に入った様だ。
その笑顔を見て安心したのか、店主はリモコンでテレビの電源を入れる。
『今日、紹介するアイテムはコレ! "パワージューサー"!』
映ったのは通販番組だった。しかも、外国の。声優が吹き替えをやっている奴だ。
『これの凄いところは、どんな野菜も食べ物も、入れてしまえば絶対ドロドロにしちまうって所なんだ!』
そして、普通入れないだろうって素材を入れてミキサーにかける・・・。
横目で見ながらプロデューサーはグリーンカレーを口に運ぶ。
…パク。 !! ダン!ダン!
そして、プハーと息を吐く。辛い!だが、すーっとして旨い。
店主の方を見ると、ニヤリとした笑いを浮かべていた。
やはり、ここにまた来るんだよな。
そう、プロデューサーは心で思った。


ある日のたるき亭の昼下がりであった。
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